統括プロデューサー 今井義博の経営哲学

開業前の7つの誤り

あなたがクリニックの開業を考えるとき、先ず認識して
おかなければならないこと。それは、先ず、自分自身が、
開業医としての人生をどうやって生きてゆくか…

開業は人生そのものである。まずは、自分自身が、開業医としての人生をどうやって生きていくか。
開業を志すのなら、先ずは“物件”と考えてはならない。何よりも先ず、『人生設計』である。

開業前の7つの誤り 01 あなたが開業を考えるとき、先ず認識しておかなければならないこと。それは…先ずは“物件”ではない 02 先ずは“資金調達”ではない 03 先ずは“事業計画”ではない 04 先ずは“診療圏調査”ではない 05 先ずは“会計士・税理士”に相談することではない 06 先ずは“開業支援企業”に相談することではない 07 先ずは“コンサルタント”に相談することではない

  1. 先ずは“物件”ではない

    物件の善し悪しで、成功するか失敗するかは、絶対に決まらない。

    医療業界には、開業を考えるなら“先ずは物件”という悪しき習慣がある。これは、大きな間違いである。
    “良い物件”とは、という定義は、産業によって全く異なるのである。少なくとも医療については、一般的なマーケティング論理(マーケティング・ミックスなど)にはあてはまらない。
    簡単に言えば、どんなに“物件”が優れていても失敗しているクリニックは存在するし、どんなに物件が悪くても成功しているクリニックは存在するのである。
    故に、開業するには“先ずは物件”という考えを持ってはいけない。さらに言えば、物件の良し悪しで、成功するか失敗するかは、絶対に決まらない。

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  2. 先ずは“資金調達”ではない

    開業資金をどうやって調達するかを悩む必要は全く無い。

    開業資金をどうやって調達するかを悩む必要は全く無い。なぜなら、貴方の資金調達能力は“事実=現実=現資産”に基づけば、既に決定しているからである。その“事実=現実=現資産”を把握できない前に、事業計画やら、物件やら、医療機器をどうするか、などなどを語ることは、全くのナンセンスである。
    先ずは、今日現在の親族を含めた“事実=現実=現資産”を知るべきなのである。資金調達は、方法論は、その次であり、その方法は実は“簡単”である。
    これも医療業界の悪しき習慣なのだが、最初にこの大切な“事実=現実=現資産”を明確にしないのである。その理由は、なんと驚くこと無かれ、開業しようと考えている本人に、ただ「聞きにくいから。」なのである。

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  3. 先ずは“事業計画”ではない

    経営現場の支出と収入の詳細が正確に理解できない限り、“事業計画”は、“ごまかし”である。

    “事業計画”は、“ごまかし”である。
    経営現場の支出と収入の詳細が正確に理解できない限り、または大凡理解できない限り、机上の空論どころか、“ごまかし”である。つまり、大切なことは、自分自身が経営者として、支出と収入の現実を知ることにある。“事業計画”なるものを見せられた瞬間、「分からない、難しい、私にはできない」という右脳的な判断で拒絶し、“誰か”に一任するのである。これが間違いの始まりである。
    支出は引き算、収入は足し算、・・・何も難しいことは無い。“難しい”という思い込みを捨てて、町の書店で最も簡単そうな“本”を探して読んでみることである。
    6時間で1冊は読めるはずである。1回では理解できないので、3回は読む事になるだろう。この18時間が費やせないのなら、開業は諦めた方がよい、いや、絶対に止めるべきである。

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  4. 先ずは“診療圏調査”ではない

    書類上の“診療圏調査”は全く役に立たない。現場を“歩く”ことが最も重要なことである。

    “診療圏調査”という書類を信用してはいけない。
    医療業界では、書類上の“診療圏調査”によって開業物件の成否を考察する習慣がある。しかし、書類上の“診療圏調査”は全く役に立たない。それを以って、誰かの言う良いも悪いも信じてはならない。
    “診療圏調査”は、その場所で開業しようとする本人の“足と目”、さらに医療という特殊なカテゴリーにおけるマーケティング論理と現場を観て判断できる実務者が揃って初めて有効的な資料となるのである。
    “診療圏調査”を基に、現場を“歩く”ことが最も重要なことである。歩いて初めて“診療圏調査”が生きるのである。“歩く時間が無い”のであれば、開業はしない方が良い。この重要な時間を割くことができないのなら、開業しても必ず失敗するから・・・。
    ちなみに“歩かない診療圏調査”は成功の根拠としては、10%にも満たない程度の資料だと思っていたほうが良い。

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  5. 先ずは“会計士・税理士”に相談することではない

    税理士や会計士に頼る前に、最低限の会計知識をつけておくのは、経営者として当たり前のことである。

    医療業界に携わっていれば誰もが知っている雑誌のアンケートによると、最も相談したい相手が“税理士や会計士”だという。確かに、ある段階になれば、信頼できる税理士や会計士の知力は必要になってくる。
    しかし、税理士や会計士に相談する前に、先ずは簡単な“会計”の本を読むことである。「どの本を呼んで良いか分からない。」という言葉をよく耳にすることがある。この類の思考は、知らないことへの拒絶反応であり、知らないことは誰かに依存することが簡単だから、という潜在意識に支配されている場合が多い。
    開業医は、医師の仕事と経営者の仕事の二つをこなさなければならない。医師として、専門外の医師に患者を紹介する時、全く知識なく紹介することをするだろうか。最低限の知識があるからこそ、専門外の医師に頼ることができるのではないか。
    経営も同じである。税理士や会計士に頼る前に、最低限の会計知識をつけておくのは経営者として当たり前のことである。

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  6. 先ずは“開業支援企業”に相談することではない

    開業を迷っているなら“開業支援企業”に相談するべきではない。

    その名の通り、“開業支援企業”は、開業をすることを前提に協力してくれる企業である。あなたが、どんな状況にあろうとも、開業させる企業である。プラスに考えれば、貴方の問題を顕在化し、解決し、あらゆる角度から支援してくれる。
    しかし、開業を止めさせる企業ではない。経済状況、勤務状況、家庭環境、経営者としての資質、などなど、状況によっては、開業をすべきではない場合がある。
    故に、開業を迷っているなら“開業支援企業”に相談するべきではない。開業をする“覚悟”ができて初めて“開業支援企業”に相談する意味がでてくるのである。
    そして、その“覚悟”は、“気持ち”だけではなく“気持ち(感性)と論理(科学)”でなくてはならない。“論理”は、自分自身の状況における客観的な情報収集から始まり、分析、問題の顕在化、問題の原因、解決方法、などなど決して“感情”ではないのである。貴方が臨床でそうであるように・・・。

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  7. 先ずは“コンサルタント”に相談することではない

    “コンサルタント”に全てを任せて失敗するケースは医師本人の勉強不足、知識不足にある。

    “コンサルタント”は、科学者でなければならない。“コンサルタント”は、あらゆる業界に共通するマーケティング論理の基礎知識を持っていなければならない。“コンサルタント”は、物件を探す不動産業者ではない。“コンサルタント”はモノを売らない。“コンサルタント”はブローカーではない。“コンサルタント”は仲介者ではない。そして、コンサルタントは契約当事者以外との利害関係を持たない。
    医療業界では特に“企業に属さない個人経営的コンサルタント”には要注意である。たまたま頼んだ“個人経営的コンサルタント”に全てを任せて失敗している医師が何人いることか・・・。
    ただし、失敗の原因はその“コンサルタント”ではなく、医師本人の勉強不足、知識不足にある。“コンサルタント”に相談する前に、本を読み、3人3地域以上のクリニックを1日づつ見学し、院長のアドバイスを受けた方が余程勉強になる。しかし、受けたアドバイスについては、主観的なアドバイスと客観的なアドバイスを分けて考察しなければならない。

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