開業前の7つの誤り - 先ずは“物件”ではない

物件の良し悪しで、
成功するか失敗するかは、 絶対に決まらない。

医療業界には、開業を考えるなら“先ずは物件”という悪しき習慣がある。これは、大きな間違いである。
“良い物件”とは、という定義は、産業によって全く異なるのである。少なくとも医療については、一般的なマーケティング論理(マーケティング・ミックスなど)にはあてはまらない。

簡単に言えば、どんなに“物件”が優れていても失敗しているクリニックは存在するし、どんなに物件が悪くても成功しているクリニックは存在するのである。
故に、開業するには“先ずは物件”という考えを持ってはいけない。さらに言えば、物件の良し悪しで、成功するか失敗するかは、絶対に決まらない

実例 ― 超優良物件でも、“失敗”するケース ― 

平成15年春、埼玉県、某大手ショッピングセンター(以下SC)の新規オープンに伴い、デベロッパーからクリニックの出展が募集された。この類のSCは週末になれば、3万人を越える集客能力がある開業するには超優良物件である。そのオープン1年前、当該SC担当者よりクリニックの募集に伴う協力を依頼された。

SC側からの依頼通り、クリニックの募集をしたところ、すぐに開業を希望するAドクターが飛びついてきた。早速Aドクターに会い、Aドクターのあらゆる開業条件を把握し、成功するか否かを検討した。その結果、Aドクターに対し、出展開業を断ったのである。この超優良物件でもAドクターは“失敗”するであろうという予想が難しくなかったからである。

我々の反対を押し切って、他社からのルートで開業したAドクターはSCオープン1年半後に大きな負債を抱えて撤退した。なぜ、この超優良物件でAドクターは失敗したのか・・・我々は、Aドクターが失敗した原因を知っている。