“コンサルタント”に全てを任せて
失敗するケースは
医師本人の勉強不足、知識不足にある。
“コンサルタント”は、科学者でなければならない。“コンサルタント”は、あらゆる業界に共通するマーケティング論理の基礎知識を持っていなければならない。“コンサルタント”は、物件を探す不動産業者ではない。“コンサルタント”はモノを売らない。“コンサルタント”はブローカーではない。“コンサルタント”は仲介者ではない。そして、コンサルタントは契約当事者以外との利害関係を持たない。
医療業界では特に“企業に属さない個人経営的コンサルタント”には要注意である。たまたま頼んだ“個人経営的コンサルタント”に全てを任せて失敗している医師が何人いることか・・・。
ただし、失敗の原因はその“コンサルタント”ではなく、医師本人の勉強不足、知識不足にある。“コンサルタント”に相談する前に、本を読み、3人3地域以上のクリニックを1日づつ見学し、院長のアドバイスを受けた方が余程勉強になる。しかし、受けたアドバイスについては、主観的なアドバイスと客観的なアドバイスを分けて考察しなければならない。
他業界では企業に属するコンサルタントよりも、個人経営的コンサルタントの方が優秀な場合が多い。その優秀なコンサルタント達は、当たり前のようにMBAの資格を持っているか、またはMBA級の知識と経験、人格的な責任感と教養、そして独自の人脈を持っている。
今井が尊敬するコンサルタントである古藤田邦彰氏もそのうちの一人である。
実例 ― 開業物件を決めることがコンサルタントの仕事? ―
私の友人や同窓生は、職業を医師・歯科医師とする人々が約1000人近くいる。そんな友人の一人から開業を考えている後輩がいるので相談に乗ってやってほしいとの依頼があり、G医師を紹介された時の話である。
G医師は病院を出入りしているMRの紹介で、医療コンサルタントなる人物に50万円のコンサルタント料金を支払って、開業に伴うコンサルティングを頼んだという。ここまでは、よく聞く話であるが、詳細に内容を聞いてみると、どうやら開業物件を決めることがコンサルタントの始めの仕事、と言われたらしい。この時点でG医師は何の疑問を持たなかったというが、既にここから大きな間違いが始まっていたことを説明した。
G医師は、私の説明に納得し、紹介してくれたMRまでに怒りが及んだ。しかし、悪いのはそのMRでもないし、そのコンサルタントでもなく、G医師本人であるということを説明した。G医師は自分の無知を知り、開業を保留した。いや、私に保留させられ、日夜、私の指定するいくつもの経営に関わる本を読んでいる。
“コンサルタント”として正しい仕事をしている人には迷惑な話であるが、現実の話である。