開業前の7つの誤り -先ずは、“事業計画”ではない

経営現場の支出と収入の詳細が 正確に理解できない限り、
“事業計画”は、“ごまかし”である。

“事業計画”は、“ごまかし”である。
経営現場の支出と収入の詳細が正確に理解できない限り、または大凡理解できない限り、机上の空論どころか、“ごまかし”である。つまり、大切なことは、自分自身が経営者として、支出と収入の現実を知ることにある。“事業計画”なるものを見せられた瞬間、「分からない、難しい、私にはできない」という右脳的な判断で拒絶し、“誰か”に一任するのである。これが間違いの始まりである。
支出は引き算、収入は足し算、・・・何も難しいことは無い。“難しい”という思い込みを捨てて、町の書店で最も簡単そうな“本”を探して読んでみることである。
6時間で1冊は読めるはずである。1回では理解できないので、3回は読む事になるだろう。この18時間が費やせないのなら、開業は諦めた方がよい、いや、絶対に止めるべきである。

実例 ― “本当の”予想損益計算書 ― 

平成20年の秋、いくつもの開業支援系企業や、何人もの税理士やコンサルタントに開業の相談をしてきたというDドクターが、それは立派な資料をたくさん持って私のオフィスに相談にやってきた。一通り資料に目を通させてもらってから、私はDドクターに「この事業計画書に沿って、この“予想損益計算書”を埋めてください。」と依頼した。Dドクターは全く書き込むことができなかった。

“他人に用意された資料なんて役に立たない”とは言わない。しかし、本来、起業しようとしている人間なら、予想損益計算書ぐらい自分で書けなければ話にならない。どうやら、ほとんどの開業しようとしているドクターは、この類の資料は難しくて、とても自分では作成できないと思っているらしいが、とんでもない勘違いである。事実、Dドクターは、その場で私のアドバイスを受けながら1時間で“本当の”予想損益計算書を書き上げた。そしてDドクターは私にこう言った「開業の準備をするって、こういうことだったのですね!」と。

ちなみに、この予想損益計算書は実務的な経営戦略を自分自身が作成するために用意された当社オリジナルのエクセルベースの空の資料である。当社では、この空の資料をドクターと意見や議論を交わしながら、協働で“本当の”予想損益計算書を完成させるのである。